近年、日本各地で想像を超える豪雨災害が相次いでいます。
記憶に新しい千葉県をはじめとする各地域での猛烈な雨と洪水被害は決して人ごとではなく、
私たち一人ひとりが水害への備えを再認識する契機となりました。
こうした異常気象が頻発するなかで、私たちの暮らしや命を守る最前線の砦(とりで)となっているのが「ダム」です。
1.ダムの目的と役割
ダムは、洪水時に水を一時的に貯留して下流域の被害を軽減する「治水」と、
水道・農業・工業・発電などに必要な水を安定的に供給する「利水」の役割を担っています。
これら複数の機能を併せ持つダムは「多目的ダム」と呼ばれ、地域の安全・暮らし・産業を支える重要な社会インフラです。
◇ 治水(ちすい): 大雨のときにダムへ水をためることで、川の水が急激に増えるのを抑え、洪水や浸水被害を軽減します。
◇ 利水(りすい): ダムに貯めた水を利用して、以下の各種用水を安定して供給します。
□ 水道用水: 家庭での調理、洗濯、入浴など、日常的に使う飲み水や生活必需水。人の命や健康に直結するため、渇水時でも優先度が高く守られます。
□ 工業用水: 工場の操業や製造ライン使われる水。工業地帯をはじめとする大規模な製造業を支えており、不足は経済活動のストップを意味するため非常に重要です。
□ 農業用水: 田んぼや畑、畜産業などで使われる水。季節(田植え時期など)によって必要量が大きく変動します。
□ 発電用水: 水を落とす勢いで水車を回し、電気を起こすクリーンなエネルギー。使用後も水が減るわけではありません。
□ 環境維持: 公園の噴水や消火活動のほか、川の水量が減りすぎないよう放流して川の生態系や水質を守ります。
このようにダムは、「洪水から地域を守る」「必要な水を確保する」「様々な用途に水を安定供給する」という複数の重要な役割を担っています。

※出典:国土交通省九州地方整備局 緑川ダム管理所「ダムの役割や機能について」
https://www.qsr.mlit.go.jp/midori/about/chisui/fc_movie.html
2.岡山県の今夏の気象からみるダムの効果
今夏の岡山県は、「前半の深刻な水不足」から「後半の記録的な大雨」へと天候が180度急変する、極端な夏となりました。
前半の渇水から、後半の大雨によって渇水の解消が期待されましたが、雨の多くは下流域(県南部)に集中し、
ダムのある上流域(山間部)では雨が少なかったため、旭川水系、高梁川水系で取水制限が継続しました。
高梁川水系では10月より1994年以来となる「第3次取水制限」にまで突入しています。
【ダムの効果】
もしダムがなければ、今夏のように降雨量が極端に少ない期間、川はわずか数日で干上がってしまう恐れがあります。
実際、7月から8月にかけて2ヶ月以上もまとまった雨がほとんど降らない異常事態の中にあっても、
私たちが普段通りに蛇口から水を使い、工場の操業停止という致命的な経済ダメージを回避できたのは、
上流のダムが「命の水」を蓄え、下流へと絶やさず流し続けてくれたからに他なりません。
また、過去の豪雨災害時にも、上流のダムが大量の雨水を受け止めて、決壊・氾濫のリスクを大幅に軽減しています。
3.ダムの管理・維持の重要性
このように、ダムは、洪水を防ぎ、生活や産業に必要な水を安定して供給する重要な社会インフラです。
その機能を長期にわたり安全に維持するためには、定期的な点検や補修、水位管理などの適切な維持管理が欠かせません。
その一方で、貯水量や河川への放流量を適切に管理する必要があり、
さまざまな観測機器や通信設備が活用されています。

※出典:国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部「ダムの管理」
https://www.hkd.mlit.go.jp/sp/yuubari_damu/kluhh4000000e4i7.html
【参考・出典元】
□ 国土交通省 中国地方整備局 岡山河川事務所「渇水情報」
□ 気象庁「過去の気象データ」
藤山電気工学社では、水位計、雨量計、地震計といった「観測設備」の点検・保守を通じて、
これらダムを支えるインフラの安定運用に携わっています。
正確なデータ測定を維持することは、ダムの適切な管理に欠かせません。
私たちはこれからも、丁寧な点検とメンテナンスを通じて機器の安定稼働に努めてまいります。
水資源には限りがあります。節水を心がけ、限りある水資源をみんなで大切に使いましょう!


