K’s 技術コラムNo.04 デジタル簡易無線機SRD790シリーズ

今回は、無線工事従事者の視点から、新しく登場したデジタル簡易無線機SRD790シリーズについて、客観的にご紹介しようと思います。

ご存じかと思いますが、デジタル簡易無線機は、デジタル通信方式を使用した無線機です。
特定小電力トランシーバーより出力が高いため、使用には申請が必要ですが、より広範囲のエリアをカバーすることができます。
また、このデジタル簡易無線機には、「免許局(免許申請が必要)」と「登録局(免許不要、登録申請と開設届が必要)」の2種類があります。
それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

【登録局と免許局の違い】

上記のとおり、デジタル簡易無線機の「登録局」は、レジャーなど業務用途以外の利用が可能で、導入しやすいという特徴があります。
そのため「免許局」と比べ「登録局」は局数も多く、混信する可能性が高く、混信した場合はキャリアセンス機能(混信防止機能)により”通信待ち(通信ができない)”が発生することがあります。
その中で”通話待ち”を避け、スムーズに通信を続けるには、手動でチャンネルを変更する必要があり、煩わしく感じる方も多いようです。
そこで、今回ご紹介の「SRD790シリーズ」では、このような従来の制約を回避する新技術を搭載し、更に便利で使いやすい機能が追加されました。

【従来機比較からの優位性】
1.プロモードでの混信回避 
・登録局では「受信中は送信不可」でしたが、SRD790シリーズのプロモードでは、送信ボタンを押すだけで空きチャンネルへ自動で切替え、そのまま通話を開始できます。
・通話相手側のSRD790も自動で追従するため、ユーザーはチャンネルの混信を意識する必要がありません。
2.USB Type-C充電対応
・一般的なUSB Type-Cでの充電が可能になり、現場での充電環境が柔軟になりました。もちろん従来のACアダプタを使用した充電も可能です。
3.混信回避の自動サーチ機能
・現在の電波状況をスキャンし、干渉の少ないチャンネルを自動で選択できます。
・周囲の通信環境に強く、混信による通話エラーの発生リスクを低減できます。
4.音声品質の向上
・ノイズキャンセル方式が従来の2マイク式からデジタル処理方式へ変更されました。AIによるノイズキャンセリングが実現しました。
・スピーカー出力は800mWから1400mWへ強化され、聞き取りやすさが改善されました。
5.バッテリ容量の改善と軽量化
・バッテリ容量は1900mAh から2100mAhと増大しました。
・総重量は約228gと従来機より軽量化され、iPhone 16 Pro Max(約227g)とほぼ同等になりました。

【従来機と変わらない特徴】
・防塵・防水性能は引き続きIP68に対応し、屋外作業や悪天候にも耐えられる設計です。
・最大送信出力は従来同様5Wのハイパワーを維持しており、通信距離と安定性においても申し分ありません。

【既存機器との互換性】
SRD790シリーズは従来の登録局無線機と通話できるノーマルモードも搭載しており、既存機器との互換性があり端末を揃える必要はありません。段階的な更新をすることで、既存の資産を有効活用し将来的に揃うと上記恩恵を受けることが可能です。

SRD790シリーズは、登録局の弱点をカバーしつつ、利便性とユーザビリティを向上させたモデルです。
混信対策の自動化や、音質・バッテリー容量の向上など、現場で求められる実用機能が着実に進化しています。

過去のINFOMATIONで「SRD790シリーズ商品紹介」をしていますので、ご興味のある方は、是非、ご覧いただければと思います。

(技術:Kousuke)

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